- 薬学生で就活が控えているけど、薬局や病院で以外でどんな就職先があるのかわからない
- それぞれの仕事はどんな働き方をしているの?
このように悩んでいる薬学生は多いのではないでしょうか。
おそらくは、病院や調剤薬局での仕事が頭に浮かぶ人が多いでしょう。実際は、みなさんの想像よりも多くの場所で働いています。
就活を控えている薬学生のみなさんの中には、就職先にどんな職種があるのか、具体的な仕事内容は何なのか、疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。
この記事では実際に、調剤薬局併設のドラッグストアで勤務している筆者が薬剤師の就職先、それぞれの働き方や特徴、就活で選ぶときのポイントについて解説していきます。
今後就活を控えている薬学生や、薬剤師の働き方に興味のある人はぜひご覧ください。
薬剤師のおもな就職先の割合
はじめに、薬剤師のおもな就職先の割合を確認してみましょう。
令和2年度時点での薬剤師数は男性が124,242人、女性が197,740人で合計321,982人です。男女比はおよそ男性:女性=4:6と女性が多い傾向です。
令和2年における施設・業務の種別にみた薬剤師数
就職先 | 人数 | 割合 |
薬局 | 188,912人 | 58.7% |
医療施設 | 61,603人 | 19.1% |
病院 | 55,948人 | 17.4% |
医薬品関係企業 | 39,044人 | 12.1% |
衛生行政機関又は保健衛生施設 | 6,776人 | 2.1% |
大学 | 5,111人 | 1.6% |
介護保険施設 | 988人 | 0.3% |
その他 | 19,462人 | 6.0% |
労働省「令和2年(2020年)薬剤師統計の概要」(R02_kekka-3.pdf)
大まかな就職先の割合は上の表の通りです(一部重複計上あり)。
みなさんのイメージの通り、薬局や病院で働いている割合が多い傾向です。薬局や病院以外の場所で働いている人がいることも、表からわかるでしょう。
薬剤師の就職先のそれぞれの特徴や働き方
ここまでの内容で薬剤師の就職先の多様性について、理解できたのではないでしょうか。すでに気になる就職先が見つかった人もいるかもしれません。
ここからは就職先ごとの特徴や働き方について説明していきます。
それぞれの違いについて深く知ることができれば、スムーズに就職活動にも臨めるかと思います。
ひとつずつ詳しく説明していきますので、自分に合う、理想とする薬剤師としての働き方について考えていきましょう。
調剤薬局
調剤薬局は先述したように、現在もっとも多くの薬剤師が選んでいる就職先です。
基本的な仕事内容は、患者様から処方箋をお預かりして薬を準備する調剤業務、薬をお渡しするときに処方薬の効果や注意点、服用方法を説明する服薬指導などがあります。
また、薬をお渡しした時の患者様との会話や、血圧や痛みの程度など症状の経過を記録し、管理する薬歴管理も重要な仕事内容のひとつです。
近年では、患者様の自宅や介護施設へ薬をお届けする在宅業務に力を入れている調剤薬局も少なくありません。在宅業務では医師とより密接な距離感で関わることができるため、より知識を身に付ける機会が多くあります。
病院、医療施設
病院や医療施設での薬剤師の働き方は、医師や看護師など、他の医療職と密に関わりながら業務を行うチーム医療が特徴です。
それ以外にも、入院患者様の薬を管理する病棟業務では、患者様の様子を見て医師へ処方の提案をすることもあります。
そのためより深く薬や病態の知識を身に付けることができるでしょう。
とてもやりがいのある就職先ではありますが、夜勤がある病院も多く肉体的にハードと感じる場面も少なくありません。ワークライフバランスを重視したい人は就職前によく確認する必要があります。
ドラッグストア
ドラッグストアでの働き方は、調剤薬局を併設している場合の調剤業務に加えて、処方箋がなくても市販で買うことができる医薬品の管理が特徴です。
また、健康相談会の実施のように地域に根付いた活動を掲げているドラッグストアも多く、他の就職先よりも患者様の身近な存在として社会と関わることができるでしょう。
筆者も調剤薬局併設のドラッグストアで勤務しており、基本的な調剤薬局としての業務をこなしながら、市販薬についての学習も並行してできています。
そのため、自信をもっておすすめできる就職先だといえます。
製薬会社(企業)
製薬会社は、専門的な薬の知識を活かすことができる就職先です。
MR(医薬品情報担当として、自社の薬の品質や特徴を医師や薬剤師に提案します。
他の医療従事者と関わることが多いため、より深い知識が求められます。また、自社の薬の使用を検討してもらうため、薬の知識に併せて営業力も必要です。
薬局やドラッグストア、病院とは違った働き方ですが、成果が給料や評価に直結する仕事であるため、とてもやりがいのある就職先のひとつです。
厚生労働省や地方自治体
日常ではあまり見かけることはありませんが、公務員として薬事行政に携わりながら勤務している薬剤師も多くいます。
例えば、次のような働き方があります。
- 国家公務員として厚生労働省での薬機法の改正に関わる
- 地方公務員として保健所で衛生や健康を守る
- 麻薬取締官として麻薬のような など規制薬物の取り締まりや指導を行う
直接お客様や患者様と接する機会は多くありませんが、国や地方を根幹から支えることができるとても魅力的な就職先といえます。
治験業界、臨床開発モニター業界
薬が実際に使用されるようになるには治験という臨床試験を経て、国から承認される必要があります。
その過程を担当する臨床開発モニター(CRA)や、治験コーディネーター(CRC)として働くのも薬剤師の就職先のひとつです。
薬の専門性をより深く身に付けられるのはもちろんのこと、日本の医療業界の発展に関わることができるのが特徴の就職先です。
職種、会社を選ぶときのポイント
ここまでは薬剤師の就職先の働き方や特徴についてまとめてきました。それぞれの違いについてわかっていただけたでしょうか。
最後に、職種や会社を選ぶときのポイントについて説明していきます。就職活動での自己分析や、会社の特徴を比較して決定することはとても重要です。
薬剤師として勤務している筆者も、就職する前の想像と、実際のギャップに苦しんでいる人を何人も見てきました。
これから注意するべき項目を挙げていくので、職種や会社が定まっている人は、問題ないかの再確認、これから考えていく人はぜひ今後の会社選びの参考にしてください。
自己分析をして向いている職種を調べる
会社を選ぶ前のはじめのステップとして、自己分析をおこない自分に向いている職種を調べることがもっとも重要です。
どれだけ興味のある分野でも、自分の苦手とする能力が求められる職種ではキャリアアップは難しくなります。
また、自分の得意とする能力が求められる職場であったとしても、興味関心が薄い分野であれば、長期的に働くのが辛く感じてしまうかもしれません。
自己分析で自分の長所や短所、興味関心を明確にすることで、それぞれにマッチした職種や会社を選べるようになります。
理想の働き方をイメージする
自己分析で自分の強みや興味を明確にできたあとは、理想の働き方を実際にイメージしていきます。
がっつりと働いて高収入を目指す人がいれば、プライベートを重視する人もいます。
また、大きな組織の中で働くのを得意とする人がいれば、少人数の中で力を発揮できる人もいるでしょう。
職種や会社によって働き方は大きく異なります。
その中で自分の興味関心、強み、理想の働き方すべてに当てはまる就職先を選ぶことができれば、ストレスが少なく満足度の高い仕事を続けていくことが可能です。
キャリアプランを明確にする
働き方が多岐にわたる薬剤師にとって、今後のキャリアプランを明確にすることも重要なステップのひとつです。
私たちは就職してから定年になるまで数十年の間、働き続けなければなりません。その中で目先の特徴だけで判断してしまうと、自分の理想通りのステップアップが実現しにくくなる恐れがあります。
キャリアプランを明確にして、そこから逆算し就職先や会社を考えていくことで、長期的な目線で理想とする働き方の実現へつながっていくでしょう。
給料や福利厚生で判断する
当然ですが働くうえで給料や福利厚生も大切です。さまざまな条件を比較しながら、希望とする職種や会社を見つけていきましょう。
職種ごとに平均的な給料に違いがあり、製薬企業やドラッグストアは比較的高い傾向にあります。家賃補助や資格支援などの福利厚生も、就職先を選ぶ際の非常に重要な要素のひとつです。
しかし、給料や福利厚生のみで判断してしまうのは非常に危険です。
これまでにあげた項目を明確にしたうえで最終的な判断基準として活用すると、さまざまな面で納得のできる就職先を選ぶことができるでしょう。
まとめ
この記事では、薬剤師としての就職先や働き方、職種や会社を選ぶときのポイントについて解説してきました。
本文で書いたように、薬剤師免許を活かした就職先は数多くあります。その中で自分に合った働き方を見つけることが、就職活動においてもっとも重要だと考えています。
これから就職活動を始める薬学生や、すでに始めている薬学生の皆さんに納得した職場を選んでもらうために、この記事を参考にしてもらえたら嬉しいです。
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